胃・十二指腸
胃・十二指腸

胃は食べ物を一時的にためて消化し、十二指腸は胃から送られた内容物を小腸に送り込む役割を持つ重要な消化器官です。胃液や消化酵素、胆汁などが協力して食べ物を分解し、栄養を体に吸収しやすい形にします。しかし、さまざまな原因で胃や十二指腸にトラブルが起こることがあります。
症状としては、胃もたれ、胸やけ、腹部の痛み、吐き気、食欲不振、黒っぽい便などがあげられます。これらは日常的な生活習慣でも起こり得ますが、長引く場合や強い症状がある場合は受診が重要です。
急性胃炎は、胃の粘膜に突然炎症が起こる病気です。主な原因として、アルコールの大量摂取、刺激の強い食べ物、ストレス、薬剤(NSAIDsなど)、ウイルスや細菌の感染などがあります。症状は、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、嘔吐、食欲不振などが急に現れることが多いです。まれに、出血を伴うこともあります(血の混じった嘔吐や黒っぽい便)。診断は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)や血液検査、場合によっては便検査で行われます。治療は、原因の除去(刺激物の回避、薬の調整)、胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬の使用が中心です。症状は多くの場合、数日〜数週間で改善します。急性胃炎は軽症で自然に治ることもありますが、症状が強い、長引く、出血がある場合は早めの受診が大切です。
機能性ディスペプシアは、胃や上腹部に不快な症状があるにもかかわらず、内視鏡などで明らかな器質的異常が見つからない状態を指します。「胃のもたれ」「食後の膨満感」「早期満腹感」「胸やけ」「吐き気」などが代表的な症状です。原因は完全には解明されていませんが、胃の運動機能の低下、胃酸や消化液の影響、ストレスや自律神経の乱れ、ピロリ菌感染などが関係していると考えられています。診断は、胃カメラで器質的疾患(潰瘍やがんなど)がないことを確認したうえで、症状の経過や内容から判断します。治療は、症状や原因に応じて行われます。
薬物療法
胃酸を抑える薬、胃の運動を助ける薬、症状を和らげる薬など
生活習慣の改善
食事の工夫(少量回数食)、禁煙、アルコール制限、睡眠の改善
ストレス対策
心理的サポートやリラックス法
機能性ディスペプシアは命に関わる病気ではありませんが、生活の質を下げることがあるため、症状が続く場合は早めの受診と適切な管理が大切です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が胃酸や消化液によって傷つき、えぐれたような病変ができる病気です。主な原因として、ピロリ菌感染、NSAIDs(痛み止めや解熱鎮痛薬)の長期使用、喫煙、アルコール、ストレスなどがあります。症状は、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、食欲不振などが見られ、空腹時や食後に痛みが強くなることがあります。まれに、出血を伴うこともあり、血の混じった嘔吐や黒っぽい便が現れることがあります。診断は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)で潰瘍の有無や大きさ、出血の有無を確認し、必要に応じてピロリ菌検査や血液検査を行います。治療は、胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬の使用、ピロリ菌がいる場合は除菌療法、NSAIDsの中止や調整が中心です。生活習慣の改善(刺激物の回避、禁煙、アルコール制限)も大切です。軽症で自然に治る場合もありますが、症状が強い、長引く、出血がある場合は早めの受診が重要です。
胃がんは、胃の粘膜から発生する悪性腫瘍です。初期には自覚症状がほとんどなく、進行するとみぞおちの痛み、食欲不振、体重減少、吐き気、嘔吐、胸やけ、黒っぽい便などが現れることがあります。主なリスク要因には、ピロリ菌感染、慢性的な胃炎、喫煙、アルコール、食生活(塩分の多い食事、保存食品の摂取など)があります。特にピロリ菌感染は胃がん発症リスクを高めることが知られています。診断は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)で胃粘膜の異常を確認し、必要に応じて組織検査(生検)を行います。画像検査(CT、超音波内視鏡など)でがんの広がりやリンパ節への転移の有無も評価します。治療は、がんの進行度に応じて行われます。早期の場合は内視鏡的切除が可能で、進行例では手術、化学療法、放射線療法を組み合わせて治療します。早期発見により治療成績が大きく改善するため、定期的な内視鏡検査や症状がある場合の早期受診が重要です。
ピロリ菌は、胃の粘膜に住み着く細菌で、感染すると慢性的な胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となることがあります。また、長期感染により胃がんのリスクを高めることも知られています。感染経路は主に口から口、または汚染された水や食べ物と考えられており、幼少期に感染することが多いとされています。成人になってからの感染はまれです。多くの場合、感染しても症状はありません。しかし、胃炎や潰瘍を起こすと、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、食欲不振などの症状が現れることがあります。診断は、血液検査、尿素呼気試験、便抗原検査、胃カメラでの生検などで行われます。治療は、複数の抗菌薬と胃酸を抑える薬を組み合わせた除菌療法が中心です。除菌により、胃炎や潰瘍の改善、胃がんリスクの低減が期待できます。感染していても自覚症状がない場合が多いため、ピロリ菌検査は40歳前後での受診や、胃炎・潰瘍の治療時に行うことが推奨されます。
アニサキスは、魚介類に寄生する寄生虫の一種で、生や加熱不十分な魚介を食べることで人に感染することがあります。人の体内では成虫にならず、一時的に胃や腸の粘膜に刺入して炎症を起こします。
主な症状は、食後数時間以内の激しい胃痛、吐き気、嘔吐です。まれに腸に刺入すると、腹痛や腸閉塞の症状が現れることがあります。食べた魚によって、胃と腸で症状の出方が異なることがあります。
診断は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)で寄生虫を直接確認するか、症状や食歴から推定されます。腸での感染の場合は、CT検査や超音波検査で炎症の部位を確認することもあります。
治療は、胃内であれば内視鏡で取り除くのが基本です。腸に刺入している場合は、症状に応じて保存的治療や手術が検討されることがあります。
予防の基本は、魚介類を十分に加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍してから食べることです。生食をする場合は、信頼できる店舗や適切な処理がされたものを選ぶことが重要です。
胃ポリープは、胃の粘膜にできる小さなこぶや隆起の総称です。ほとんどは良性で、自覚症状がないことが多く、健康診断や胃カメラ検査で偶然見つかることがあります。
過形成ポリープ
胃炎に伴ってできることが多く、がん化のリスクは低めです。
腺腫性ポリープ
がん化する可能性があるため、大きさや形によっては切除が検討されます。
ファンドポリープ
胃の上部(胃底部)にできるポリープで、多くは小さく良性ですが、大きくなる場合は注意が必要です。
症状はほとんどの場合ありませんが、大きくなると胃の不快感、吐き気、出血などが現れることがあります。診断は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)でポリープの大きさや形を確認し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。治療は、ポリープの種類や大きさによって異なります。小さくて良性のものは経過観察で十分な場合が多く、腺腫性や大きなポリープは内視鏡的切除が行われることがあります。定期的な胃カメラ検査でポリープの変化を確認することが、安心して生活するためのポイントです。
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